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【連載第3回後編】日本人の食事摂取基準 2025年版で何が変わった? ― 水溶性ビタミン
2026年4月28日
連載第3回の前編では、脂溶性ビタミンを解説しました。後編では、水溶性ビタミンに焦点を当て、2025年版で推定平均必要量と推奨量が全般的に下がったビタミンB1、目安量のみの設定になったビタミンB12、推定平均必要量、推奨量、目安量の数値が一部更新された葉酸、0~14歳の推奨量と推定平均必要量が全般的に下がったビタミンCについてご説明します。
●ビタミンB1(化学名:チアミン) ― 糖質代謝をサポート。新たな評価法で推定平均必要量※1が変化
ビタミンB1は、豚ヒレ肉、たらこ、ナッツ類などに多く含まれています。
糖質は体内で代謝され、エネルギーを産生します。ビタミンB1は、その代謝の過程に関わる酵素の働きを助ける補酵素として作用します。これにより脳にエネルギーが行き渡り、脳や神経機能を正常に保つサポートをします。胎児の神経系の正常な発育を促します。
日本人は米を主食としているため、糖質の摂取が多く、米の胚芽にはビタミンB1が豊富に含まれています。しかし、精米された白米を多く摂る食生活では、ビタミンB1が不足しやすい傾向があります。不足すると、神経炎や脳への障害のリスクが高まり、脚気(かっけ)の原因となることがあります。
2020年版では、推定平均必要量を尿中の排出量を基に算定していましたが、2025年版からは新たに生体指標(バイオマーカー)※2が用いられ、推定平均必要量は全体的に下がりました。
● ビタミンB12 ― 造血機能、神経機能の維持に。目安量※3が設定
ビタミンB12はシジミ、アサリなどの魚介類、焼きのり、レバーに多く含まれ、加熱に強いですが、煮ると成分が溶け出るので、スープなどはおすすめです。
ビタミンB12は葉酸とともに、赤血球の生成を助け、貧血を予防します。また、DNAの合成や、神経機能の維持に働き、脳の機能や神経の正常な働きをサポートするため、胎児の成長に重要な役割を果たします。また、認知機能の維持にも期待される栄養素です。
2025年版では、生体指標(バイオマーカー)を用いて算定され、推定平均必要量と推奨量はなくなり、目安量のみが設定されました。18歳以上の男女の目安量 4.0 μg/日となりました。
● 葉酸 ― 妊活・妊娠中に特に重要。
葉酸は、ブロッコリーやほうれん草、アボガドなどの緑黄色野菜に多く含まれ、動物性食品では鶏・牛レバーに豊富に含まれ、焼きのりにも多く含まれます。ビタミン12とともに赤血球の生成に関わり、新しい細胞の生成をサポートします。葉酸は胎児の正常な発育にとても重要なため、妊娠中の女性や特に必要な栄養素です。
2025年版では、調査対象者のデータの変動とその調整により数値が少し変更されています。妊婦、授乳婦の付加推奨量として、中期・後期は+240㎍/日、授乳婦は+100㎍/日が設定されています。例えば、妊娠を計画している18歳以上の方は、推奨量240㎍/日に必要とされている付加量を加算して、それより下回らないように心がけましょう。
妊娠初期の摂取不足は、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」という先天異常のリスクが高まることで知られています。神経管閉鎖障害は、妊娠4〜6週目に起きる障害で、この時期にはまだ妊娠に気づいていないことも多いため、妊娠を望む女性は「妊娠前から」葉酸を意識した食事を心がけることが大切です。
また、葉酸が不足すると、動脈硬化の引き金などになる血清ホモシステイン値を高くすると言われています。動脈硬化の予防にも葉酸の摂取は大切です。
●ビタミンC (化学名:チアミン)― 強力な抗酸化作用とコラーゲン合成に必要。数値はやや見直し
ビタミンCは、赤ピーマン、芽キャベツ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれます。抗酸化作用があり、コラーゲン合成に関与しています。
欠乏すると、コラーゲン合成が抑制され、血管がもろくなり出血しやすくなるなどの症状が出ることがあります。
2025年版では、生体指標(バイオマーカー)として、新しく血漿アスコルビン酸濃度が適用され、推定平均必要量や推奨量※4の数値が全般的に下がりました。
2025年版では、多くのビタミンにおいて、体の状態をより正確に反映する生体指標(バイオマーカー)が導入されています。
最終回の連載第4回は、ミネラルについて解説します。
※1 推定平均必要量(EAR: Estimated Average Requirement)
摂取不足の回避を目的とし、健康な人(概ね自立した日常生活を送ることができる人)を対象に、性・年齢階級別に日本人の必要量の平均値を推定したものです。その集団の約50%がこの量を摂取すれば、必要量を満たし健康を維持できると推定される1日の摂取量です。
※2 生体指標(バイオマーカー)
ある栄養素の摂取量や栄養状態を客観的に評価するために使われる生体内の指標(生体成分や生理的反応)のことです。血液、尿等の生体試料中に含まれる物質や、体の生理的反応を通じて、特定の栄養素の摂取量や体内での利用状況、健康への影響を反映する指標を指します。ある栄養素の摂取量や栄養状態を客観的に評価するため利用されます。例えば、ナトリウムやたんぱく質摂取に対する尿中ナトリウムあるいは窒素排泄量、各種ビタミンの血清中濃度等
※3 目安量(AI: Adequate Intake)
目安量は、推定平均必要量(EAR: Estimated Average Requirement)や推奨量(RDA: Recommended Dietary Allowance)を設定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、現在の摂取状況や知見をもとに、健康維持に十分と考えられる平均的な摂取量を示す指標です。
※4 推奨量(RDA: Recommended Dietary Allowance)
摂取不足の回避を目的とし、推定平均必要量(EAR: Estimated Average Requirement)を基に算定されます。ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(約97〜98%)が必要量を満たし、健康を維持できると推定される1日の摂取量です。
出典:
日本人の食事摂取基準(2025年版)報告書| 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf
日本人の食事摂取基準(2020年版)報告書| 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
【連載第1回】日本人の食事摂取基準 2025年版で変更された栄養素 ― 2020年版から2025年版で変更された栄養素
https://www.elevit.jp/ninkatsu/news/DRI2025/20260330/
【連載第2回】日本人の食事摂取基準 2025年版で変更された栄養素 ― 脂質(脂肪酸)
https://www.elevit.jp/ninkatsu/news/DRI2025/20260409/
【連載3回前編日本人の食事摂取基準 2025年版で変更された栄養素 ―脂溶性ビタミ】日本人の食事摂取基準 2025年版で変更された栄養素 ― 脂質(脂肪酸)
https://www.elevit.jp/ninkatsu/news/DRI2025/20260416/
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https://www.elevit.jp/nutrition/folic-acid/vitaminb1/#point01
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Last Updated : 2026/Apr/28 | CH-20260421-07