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妊娠出産へのホモシステインの悪影響

中村仁美さんがMCを務める、 「妊活」をテーマにした、エレビット提供のラジオ番組「エレビットpresents 大切なあなた」に、東京労災病院産婦人科部長の太田邦明先生が出演されました。

葉酸が体の中に足りていないと悪玉アミノ酸と呼ばれる「ホモシステイン」が蓄積されます。
今回、太田先生には「ホモシステイン」とは何なのか。「ホモシステイン」はなぜ溜まるのか?どんな悪影響があるのか?など、「ホモシステイン」に関することを4回に分けて解説していただきました。

10月に放送された「Vol3.妊娠出産へのホモシステインの悪影響」をご覧ください。

太田 邦明先生プロフィール

太田先生

独立行政法人 労働者健康安全機構 東京労災病院 産婦人科部長

東邦大学医学部大学院卒業。メイヨークリニック内分泌研究所リサーチフェロー、ロザリンドフランクリン医科大学産婦人科助教、慶應義塾大学産科婦人科学教室助教、那須赤十字病院産婦人科副部長、福島県立医科大学産婦人科学講座・ふくしま子ども・女性医療支援センター 講師、東邦大学医療センター大森病院産婦人科 准教授を経て、令和3年より現職。医学博士、日本産科婦人科学会専門医・指導医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会ヘルスケア専門医・指導医 など

第30回 2022/10/23放送 Another Edition 
専門家インタビュー:東京労災病院産婦人科部長 太田邦明先生

中村:ゲストをご紹介いたします。東京労災病院産婦人科部長の太田邦明先生です。よろしくお願いします。

太田:よろしくお願いします。

 

ホモシステインとは

中村:まずはホモシステインについて簡単に伺ってもよろしいでしょうか?

太田:ホモシステインを簡単に説明すると、「悪玉のアミノ酸」と考えてください。

中村:嫌な響きですね、悪玉。

太田:生活の中でタンパク質を必ず摂ると思うのです。その中で必ず体の中に生成されて、溜まってきてしまうものと言われています。

中村:タンパク質を食べるとホモシステインが溜まるという事ですけれど、でもタンパク質は絶対に必要な栄養素じゃないですか。

太田:タンパク質は炭水化物、タンパク質、脂質、最も大事な3大栄養素なのです。それを摂らないっていう選択肢はないと思います。

中村:でも、食べると溜まってしまうのですよね。

太田:そこですね。ホモシステインを排除する上で一番大事な栄養素がありまして、それが「葉酸」です。

中村:妊娠中は摂れと言われている葉酸、これがホモシステインを排除するのに良いということなのですか?

太田:はい。

中村:と言うことは、やはり不妊治療とホモシステインは密接に関係している。

太田:勿論です。

中村:具体的に、ホモシステインが高い人、低い人、不妊治療の成果って変わってきますか?

太田:面白いデータがあって、デンマークは国民が登録制なので、非常に国民全体で研究しやすいので、研究結果がでやすいのです。

中村:はい。

太田:デンマークで1年間妊娠したい人達をずっと追跡した時に、葉酸サプリメントを摂っている人と摂っていない人を比べると出生率が15%~20%、摂っている人の方が良かったのです。

中村:15から20って実は大きいですね。

太田:かなり大きいと思います。

中村:そんなに差が出るのですか。やはり葉酸サプリは、不妊治療を受ける時には必ず摂った方が良い。

太田:そうですね。

 

葉酸+マルチビタミンの効果

中村:葉酸だけではなくて、このマルチビタミンの方が良い事の理由を教えてください。

太田:ひとつは、葉酸を摂ると、悪玉のアミノ酸を良いアミノ酸に変換することができるのですけども、変換する際に、他のビタミンB群などを一緒に摂っている方が、より効率が良いです。代謝の中で主役は葉酸でいいと思うのです。ホモシステインを蓄積しないために、より効率良くホモシステインを溜めない意味で言うと、他のビタミンB群も一緒に摂った方が良いかと思います。

中村:葉酸だけ摂っている方と、葉酸とビタミンB群を摂っている方で、数字的に差とか出たりするのですか?

太田:葉酸だけ摂った時よりも、ビタミンB群も一緒に摂った方が、体外受精、いわゆる不妊治療の成績が良いです。また面白いデータがありまして、ベトナムのデータなのですけれども、葉酸サプリメントだけの人と葉酸プラスビタミンB群も含めたマルチビタミンで摂った人で比べたところ、お子さんを6歳まで追跡した時に、発達能力、処理能力のIQが葉酸プラスマルチビタミンB群で摂った子達の方が高かった結果が出ています。そういうデータからすると、両方摂った方が良いのかなと思います。

中村:そうですよね。どうせ飲むなら、葉酸のマルチビタミンを飲んでいる方が、子供にも自分にも良いっていう事ですね。

太田:そうですね。

中村:6歳迄って大きいですよ、それは。

太田:ノルウェーでも同じようなデータが出ていて、ノルウェーは確か5歳まで追跡したのですけれど、お母さんがしっかり葉酸サプリメントを飲んでると、自閉症が減るということがあったのです。葉酸はマストで、できたら両方摂った方が良いという事です。

中村:両方摂った方がより良いという事ですね。知らなかったです、私、それ(笑)もっと早く聞きたかったです。もっとマルチビタミンで飲んでいれば、子ども達がと思っちゃいますけれど。ちゃんとそうやって数字で結果として出されると、説得力ありますね。これは。

太田:こういう話をすると、そのせいだって、皆さん言いますね(笑)

 

摂取する時期

中村:(笑)言いたくなっちゃいますけれどね。ちなみに、不妊治療で葉酸のマルチビタミンを飲むのは、いつまで飲めばいいのですか?

太田:もちろん、妊娠前から飲むのが非常に大事なのですけども、ホモシステインという酸化ストレスといって、細胞を錆びさせる効果もありますし、血栓を作るのですよね。血液の中に血の塊を作るのです。

中村:怖いですね。

太田:妊娠中血栓ができると、どうしても胎盤にいく血流が減るのです。そうすると妊娠中に赤ちゃんが小さく生まれてしまう事もあります。

中村:発育にも関係するのですね。

太田:関係するのもあります。早産であったり、血圧が上がってきたりすることがあるので、ホモシステインが溜まって胎盤に血栓ができてしまいます。妊娠時はもちろん、プラス妊娠中もなるべく長く飲んだ方が、最近中国から出たデータだと、産後鬱を抑制する事も出ているので、初期だけでなく、始めたら妊娠中ずっと飲んでいる方が良いです。

中村:凄く色々なところに影響があるのですね。子供だけじゃなくて、産後鬱もですか。

太田:はい。

中村:そうなのですね。これは絶対飲んだ方が。じゃあ、出産後も飲み続けた方が良いって事ですか?

太田:そうですね。葉酸の一番の効果でよく知られているのは、神経管閉鎖障害なのです。日本ではないのですけども、それを予防する為に、1998年から欧米では、穀物に法的に強制的に葉酸を入れたといった事がありまして、現在でもやっているのですけれども、それで1998年を境に、劇的に神経管閉鎖障害が減ったのです。もう一つ、なんと、大人の脳卒中死がその1998年を境に減ったのです。大人もそういう穀類を一緒に食べているので、実は子供だけじゃなくて、大人も恩恵に預かれたので、やはり年齢問わず、葉酸の効果は公衆衛生学的にも証明されているのです。

中村:日本も入れて欲しいですね。

太田:そういう意味では、本当に日本は後進国ですね。

中村:なるほど。そういったデータが出ているにも関わらず、国としては、ということなのですね。

太田:そうですね。

中村:でも自分で摂れますものね。葉酸手に入りやすいですものね。葉酸というと女性のものだと思っていたのですが、男性もやはり飲んだ方が良いですか?

太田:男性も飲んだ方が良いです。

中村:不妊治療をしているしていないに関わらず、妊娠を望んでいる人は飲んだ方が良いってことですよね?

太田:男性もですか?

中村:女性もです。

太田:女性も勿論です。

中村:なるほど。あぁ、そうか。凄いですね。葉酸、そして葉酸プラスマルチビタミン。葉酸だけじゃなくて、マルチビタミンで摂っている方がより良いという事ですものですね。

太田:そうですね。

中村:いや、これは勉強になりました。今回は東京労災病院産婦人科部長の太田邦明先生をゲストに迎えて、妊娠出産へのホモシステインの悪影響をテーマにお話を伺いました。ありがとうございました。

太田:ありがとうございました。
 

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Last Updated : 2022/Dec/5 | CH-20221128-15