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排卵日を正しく知って妊娠率を上げたい〜月経が予定より遅れるときはどうしたらいい?
妊活中の女性にとって、排卵日の予測はとても大切。
妊娠しやすいといわれている排卵日前後を知ることで、妊娠率を上げられる可能性があります。ここでは、排卵のしくみや自分でできる排卵日の調べ方、また、病院で調べる方法について詳しくみていきます。
排卵日がわかると妊娠率が上がるって本当?
妊娠しやすいタイミングは、予測した排卵日を基準に考えます。
排卵された卵子の寿命はおよそ24時間なのに対し、女性の体内に入った精子の寿命はおよそ72時間と、精子よりも卵子の寿命は短くなっています。排卵より前に性行為を行えば、精子は女性の体内で卵子を待つことができます。このことから、最も妊娠しやすい性交タイミングは、排卵日の1~2日前とされています。
米国生殖医学会では、自然妊娠を目指すポイントとして、妊娠しやすいのは排卵の4日前から前日で、この時期に1~2日おきに性交すると妊娠しやすいとしています。
妊娠しやすいタイミングを知るためにも、排卵日の予測は大切といえるでしょう。
排卵のしくみを知りましょう
排卵日を知る上で、まずは排卵のしくみについて確認しましょう。
月経の終わり頃になると、脳にある下垂体から卵巣に向けて、卵胞(卵子の入った袋)を育てるように指示するホルモンが分泌されます。そのホルモンの刺激によって、いくつかの卵胞が発育し始めますが、その中から1個の卵胞が選ばれて成熟していきます。
卵胞が十分に成熟すると、卵胞からエストロゲンというホルモンが分泌されます。エストロゲンの量がピークになると、下垂体から排卵を促すLHというホルモンが急激に多量に放出され、この刺激により卵胞から卵が飛び出し排卵がおこるのです。
排卵日を自分で予測する方法
排卵日を自分でも予測できる方法をいくつかご紹介します。
・基礎体温から予測する
基礎体温の変化から排卵日を予測する方法です。
基礎体温とは、安静な状態のときの体温のことで、起床時、体を起こす前に婦人体温計を舌の下にはさんで測定します。
毎日継続して測った基礎体温をグラフ(基礎体温表)にすると、正常な月経周期の場合、低温期(低温相)と高温期(高温相)の二相になり、月経周期が28日の場合、高温期が約14日間続くことがわかります。
これは、排卵が起こると、卵巣に残った卵胞は黄体となり、黄体からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され、脳の体温調節中枢に作用し、体温が上昇するためです。 受精しなかった場合は、黄体は退縮し、プロゲステロンの分泌は止まります。そして、月経が始まり、体温は下がります。
つまり、低温期から高温期になったあたりで、排卵が起こったことが予測できるということです。
継続して基礎体温を測って記録することで、次に基礎体温が上がるタイミングがわかりやすくなり、それによって排卵日も予測しやすくなります。妊活中の方は、体の変化を知るためにも基礎体温を測り、記録する習慣をつけることが大切です。
・月経周期から予測する
月経周期(生理周期)が28日の場合、月経が始まってからおよそ14日目が排卵日の目安になります。直近の月経開始日と月経周期を知っていれば、排卵日を予測できる可能性があります。ただし、月経周期は個人差がありますので正確な判断はできないことがあります。
月経周期を使った排卵日の予測には、月経サイクルを入力することで排卵日を予測する『妊活カレンダー』が便利です。
・おりものの変化から予測する
おりものは、月経周期に合わせて粘度や色が変化します。排卵日が近づくと、エストロゲン(卵胞ホルモン)の働きにより、おりものの粘性が下がって透明になり、量が増えていきます。
・市販の排卵日予測検査薬から予測する
月経周期の中頃になると、脳の下垂体から卵巣へ排卵を指示するLH(黄体形成ホルモン)の分泌が急激に増加します。LHの大量分泌をLHサージといい、LHサージから約40時間後に排卵が起こるといわれています。薬局やドラッグストアで購入できる排卵日予測検査薬では、尿中のLHサージを捉えることで、排卵日を予測します。
・月経周期が予定より遅れたりずれたりするときは
月経周期が予定より遅れることはあるものです。月経予定日になっても、なかなか月経が始まらない場合、妊娠している可能性もありますが、ストレスや何らかの要因で月経不順(生理不順)になっているケースもあります。月経周期の乱れは妊活にも大きく影響します。不安なときは一人で悩まず、医師に相談しましょう。
排卵日を病院で調べる方法
ここまで自分で排卵日を予測する方法を紹介しました。予測の精度をより高めるためには病院で相談してみましょう。
病院で行われる排卵日を調べるための方法について紹介します。
・頸管粘液検査
子宮頸管粘液とは、子宮頚部から分泌される粘液で、ホルモンの影響で量や色、性質も変わります。排卵日が近くなると量が増えて透明になり、糸を引くように伸びます。こうして、精子が通りやすく妊娠しやすい状態へと変化するのです。排卵期に頸管粘液を針のない注射器で採取し、その性状を調べます。しかしこの検査から排卵時期を正確に予測することは難しいです。
・経腟超音波断層法
経腟プローブという棒状の超音波を発する装置を腟に挿入し、卵巣内の卵胞の直径を測定することで、排卵日を推定する検査です。月経周期3日目は直径2~5mm程度ですが、徐々に成長し排卵日直前になると22mmくらいになります。
自己流のタイミング法でうまくいかない場合の不妊治療にはどんなものがある?
不妊とは、妊娠を望む健康な男女が避妊せず性交しているのに、一定期間(1年)妊娠しないことと定義されています。自己流のタイミング法でもなかなか妊娠できない場合、不妊治療の検査をまず受けることを検討してもよいかもしれません。
不妊治療には、タイミング法、人工授精などの「一般不妊治療」と、体外受精、顕微授精などの「生殖補助医療」があります。そのほか、不妊の原因を取り除くために、内視鏡手術を行う場合もあります。
一般的に不妊治療は、不妊の基本的な検査で異常がみつからなければ、多くの場合タイミング法から始まります。うまくいかなければ、人工授精、体外受精とステップアップしていきます。
不妊治療を始めるとき、男性が受けるのが精液検査です。精液検査では精子の形態や精液量、精子濃度、運動率、運動の質、感染の有無などを調べます。精液検査の結果が悪い場合、人工授精を試みることがあります。
・タイミング法
排卵日を予測して、性交のタイミングを合わせる方法です。経腟超音波検査(排卵日より前に卵胞の大きさを測定し排卵日を予測する検査)、尿中や血中の排卵を促すホルモン(LH)の値を測定する検査などで排卵日を予測し、性交のタイミングを医師から指導してもらいます。
・人工授精
男性から採取した精液から運動している元気な精子を選び、排卵の時期に子宮内に直接注入する方法です。精子に何らかの問題がある場合や性交障害がある場合に行います。
・体外受精
排卵直前に卵子を体内から取り出し、体外で精子と受精させる治療です。腟から卵巣に針を刺して採卵し、体外で精子をふりかけて受精させ、培養され、細胞分裂した胚を子宮内に移植します。胚を凍結して次周期以降に解凍し、胚移植する方法もあります。
・顕微授精
体外受精のひとつで、腟から卵巣に針を刺して採卵し、顕微鏡で見ながら、卵子の中に直接精子をひとつ注入して受精させ子宮に戻す方法です。体外受精で卵子と精子がなかなかうまく受精できない場合や精子の数が少ない場合などに行います。
・不妊治療で排卵をコントロールする方法
排卵障害がある場合や人工授精を行う場合、生殖補助医療(体外受精や顕微授精など)のために採卵が必要になったときなどに、排卵誘発剤といわれる内服薬や注射剤を使用して卵巣を刺激し、排卵を誘発する方法があります。
・不妊治療でかかる費用と保険適用について
2022年4月より、不妊治療が保険適用になりました。
これまでは、不妊検査や不妊に関係する疾患の治療、タイミング法、排卵誘発法などは保険適用でしたが、人工授精や体外受精などは保険適用外でした。そのため、保険が適用されない治療は高額になり、妊娠したくても諦めなくてはならない方もいました。
2022年4月より、不妊治療が保険適用になったことで、これまで躊躇していた夫婦も、不妊治療を始める選択肢が増えたといえるでしょう。
現在では、これまで保険適用外だった人工授精等の「一般不妊治療」や体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」についても、採卵から胚移植に至るまでの基本的な診療は全て保険が適用されます。
生殖補助医療のうち、患者さんの状態に応じて追加されることのある「オプション治療」も保険適用となるものがあります。また、先進医療として保険診療と併用できる治療もあります。不妊治療に関する「先進医療」は今後追加されることがあるので、 詳細は医療機関に確認しましょう。
生殖補助医療の保険診療の対象者はこれまでの助成金と同じように、治療開始時の年齢が43歳未満である必要があります。回数は、初めて治療を開始した年齢が40歳未満は、1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満は1子につき通算3回までとなっています。
不妊治療にかかる費用は医療機関によってそれぞれ違います。保険適用前は、人工授精は1回1~3万円ほど、体外受精や顕微授精などは1回のサイクルで35~55万円くらいが平均になっていたり、総額100万円以上かかったという夫婦も少なくありませんでした。しかし、保険適用になったことで、不妊治療のハードルは大幅に下がったといえるのではないでしょうか。
排卵日の予測や月経不順について専門の病院に相談するのが妊娠への近道
妊娠しやすい日を知るために、排卵日の予測は重要なポイントになります。
手軽に予測してみるなら、月経サイクルを入力することで排卵日を予測する『妊活カレンダー』が便利です。まずはこちらで予測してみるのがおすすめです。
それでも、排卵日は体調の変化で変わることがありますし、特に月経不順の方は月経周期から排卵日を知るのは難しいものです。
排卵日をできるだけ正しく予測するためには、産婦人科や不妊治療専門のクリニックを受診して相談するのが効率的といえるでしょう。
また、月経不順は何らかの病気が関係している可能性もあります。気になったら早めに専門の医師に相談しましょう。