妊娠中、お刺身は食べないほうがいいと耳にされたことはありませんか?妊娠前は食べるのに制限のなかったお刺身ですが、妊娠するとなぜ控えたほうがいいのでしょうか?その理由を詳しく解説したいと思います。
妊娠すると、お母さんのお腹の中で胎児が育っていきます。胎児のからだはまだ不完全なので、お母さんのからだから酸素や栄養などを送ってもらう必要があります。胎児とお母さんは一心同体です。
そのため、お母さんの食べたもの、飲んだもの、からだに取り込まれたものが、胎児のからだに影響を与えます。それは胎児にとって、良い物も悪い物もです。
お母さんにとっては必要なお薬も、胎児にとっては悪影響を与えるものがありますし、お母さんが好きなアルコールや、コーヒーなどのカフェイン飲料は胎児の成長に悪影響を与えるおそれがあります。
そして、お刺身も胎児に影響を与える可能性のある食べ物です。
お刺身は、マグロやサーモン、タコ、イカ、貝類などの魚介類を、生の状態で食べることになります。「魚介類」を「生の状態」で食べる行為は、妊娠中に控えたいところです。その理由として、下記の3つが挙げられます。
魚介類には、腸炎ビブリオや病原性大腸菌、ノロウイルスなどの食中毒菌やウイルスが付着している可能性があります。そのため、お刺身など生の状態で魚介類を食べるのは、リスクを伴います。
特に妊娠中に食中毒になれば、頻回の下痢によって子宮収縮が引き起こされることも。さらに、胎児への影響を考えると使用できるお薬も限られます。
サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケなどの魚やイカの内臓などには、アニサキスという寄生虫が潜んでいる可能性があります。アニサキスは、寄生している魚介類が死亡し時間が経過すると、内臓から刺身にも使われる筋肉部分に移動することが知られています。アニサキスの幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmと小さいので、お刺身のサイズでも潜んでいる可能性は高いです。
そのため、お刺身など生でこれらの魚介類を食べることで、アニサキスが胃や腸の壁に侵入し、猛烈な腹痛を起こす原因になる場合があります。
マグロやクジラ、キンメダイなどの深海魚は、メチル水銀という物質を多く含むため、妊娠中に食べる量に気をつけないといけない食材です。メチル水銀は、胎盤を通り抜けることができ、胎児の脳に到達します。
高濃度のメチル水銀は胎児の神経系に作用し、神経障害や発達障害を引き起こす可能性があります。
そのため、下記の魚をお刺身で食べる場合は、量に注意しましょう。
注意が必要なお魚 | 1週間で食べられる刺身の量 |
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キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ | 刺身2人前 (約160g) |
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、マッコウクジラ | 刺身1人前 (約80g) |
コビレゴンドウ、バンドウイルカ | 水銀の含有量が多いため、避けたほうがよい |
妊娠中に刺身を食べることは、禁止ではありません。しかし、食中毒やアニサキス、水銀の蓄積などを考えると、妊娠中は食べるのを控えたほうが安心といえます。
刺身を食べたくなったら、代替品を探すのもいいですね。刺身こんにゃくなら妊娠中にも問題ありませんし、アボカドに醤油をたらすとトロの風味がするという話も。アイデアを取り入れながら、マタニティライフを楽しく過ごしましょう。
もし、不安なことがあればかかりつけの医師に相談することも大切です。
この記事は2021年2月8日時点の情報です。
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