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【看護師監修】基礎体温を上手に活用するコツ
基礎体温は、月経周期や排卵の有無、女性ホルモンの状態などを推測するうえで役に立ちます。一方で、「基礎体温のグラフを見てもどんな意味があるのかわからない」という声や、「測り忘れてしまうことが多い」という悩みを耳にすることも。そこで、基本的な基礎体温のパターンや基礎体温グラフの見方、測り忘れを防ぐための工夫についてみていきます。
そもそも基礎体温で何がわかるの?
まず、「基礎体温で何がわかるの?」という疑問を持つ人に向けて、基礎体温と月経周期、排卵日との関係について簡単におさらいしておきましょう。
基礎体温の変化は、月経開始の日から、次の月経開始前の日までをひとつの月経周期としてみたとき、次のように変動します。
- 月経開始日~排卵:エストロゲン*1の分泌が増える一方プロゲステロン*2の分泌が減り、体温が下がる(=低温期)
- 排卵期:エストロゲンの分泌がピークに達することで脳からの排卵司令のホルモンが出て排卵が起こる(=低温期と高温期が切り替わる時期)
- 排卵~月経前:プロゲステロンの分泌が増えて体温が高くなる(=高温期)
*1エストロゲンとは:卵巣にある卵胞(卵子の入った袋)から分泌する女性ホルモン。子宮の内膜を厚くし、頸管粘液を増やし、精子が通りやすくする。周期的な排卵と月経には欠かせないホルモン。
*2プロゲステロンとは:卵巣内にある、黄体と呼ばれる排卵した後の卵胞から分泌する女性ホルモン。着床できる状態に子宮を整える。妊娠したらそのまま分泌を続けて妊娠が続くように働き、妊娠しなければ分泌が減って月経が始まる。妊娠と月経の仕組みに欠かせないホルモン。
基礎体温の基本的なパターンとは?
このように、女性ホルモンの変動に伴って変化する基礎体温は、継続して測りグラフで振り返ることで、月経周期や排卵の時期を把握することができます。正常な月経周期のグラフでは、以下のようなパターンになっています。
正常な月経周期の基礎体温パターン
- 2相(低温期と高温期)になっている
- 高温期の長さが12~14日ある(月経周期が28日の場合)
正常なパターンと比べ、いくつかのパターンでは、妊娠や無排卵、黄体機能不全というホルモン異常の可能性が考えられます。ただし、基礎体温の変化だけで正常なのか異常なのかは判断することができないため、気になる基礎体温パターンがあるときには自己判断せずに婦人科で相談するようにしましょう。
気になる基礎体温パターンの例
妊娠した時の基礎体温パターン
- 2相になっていて、高温相が16日以上続く(月経周期が28日の場合)
排卵していない可能性がある基礎体温パターン
-
2相になっておらず、低温期だけが続いている
基礎体温には測り方や体調、ライフスタイルによる変動も
ここまで、基本的な基礎体温のパターンをみてきましたが、実際に測定をして記録してみると、どのパターンにあてはまるのかがわからないということもあります。その原因として、例えば、基礎体温を測定する期間が短すぎることが考えられます。正常な月経周期は25~38日で1サイクルです。ですから、まずは最低でも2~3ヶ月続けて測定したうえで傾向をみることが必要です。
基礎体温は体調やライフスタイルの影響を受けて日々変動します。数値よりも、2相に分かれているかどうかを意識して記録をつけてみましょう。
基礎体温の測定を習慣化するコツ
基礎体温は通常の体温計ではなく、婦人体温計を使って毎日ほぼ同じ時間に測ります。4時間以上眠ったあと、目覚めてからすぐに動かず、舌下で測定します。しかし「つい忘れてしまった・・・」などと、習慣にすることが難しく感じることもあるでしょう。基礎体温を測るため婦人体温計をいつもと同じ枕元などに置いておき、目覚めたらすぐに測るという方法が一般的です。
それでもなかなか習慣化できないという方へ、いくつかの工夫をご紹介します。
測り忘れ・記録忘れ防止の工夫
測り忘れ防止に、目覚まし時計(スマホ画面など)に付箋等のメモを貼っておき、アラームを止める際に体温を測ることを思い出すようにしておく方法はいかがでしょう。ただ、せっかく測っても忙しい日には記録することを忘れてしまうということもあります。
そこで活用したいのがスマホのアプリ。婦人体温計に連動するアプリがあるので、記録忘れを防ぐためには、こうしたツールを使うことも方法のひとつです。
アプリが使えない場合
携帯電話の電話機能で測った体温の数値をコールして発信履歴として残しておく、という方法もあります。36.65℃なら「3665」とかけます。時間のある時に発信履歴をみてグラフにすることができます。
パートナーと協力する
パートナーといっしょに生活する方には、パートナーに協力してもらうという方法があります。最近では、体調管理のために体温測定を日課にしているという方も多いのではないでしょうか。体温を測るタイミングを女性の基礎体温測定と同じく「起床時すぐ」にして、お互いに測り忘れがないか確認し合うのもよいでしょう。
また、体調や測り方・測るタイミングによって基礎体温が変動しやすいことをパートナーにも理解してもらい、目覚めてすぐの安静時に測れるように協力を得ることもおすすめです。さらに、基礎体温がどんなときに変動しているのかを確認するときに、「この日、何してた?」「すごく疲れていたよね」と、基礎体温の変動や生活リズムや体調について一緒に振り返るようにできれば、いつごろ排卵があるのかなど、身体のリズムを自然に意識し合うきっかけにもなるでしょう。
どうしても基礎体温をつけることができない場合
生活上、基礎体温をつけること自体がストレスになってしまうことがあるかもしれません。そんな時は無理せずかかりつけの医師に相談しましょう。
排卵日を予測するには基礎体温の計測以外に、排卵日予測検査薬を使ったり、通院して卵胞をチェックするなどの方法もあります。
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まとめ
基礎体温を測ることは、正常な月経周期であるか、排卵しているかなど振り返るうえで役に立ちます。正常な月経周期では、高温期と低温期の2相になるのが基本パターンですが、低温期だけが続く場合や、高温期が短い場合には、無排卵や黄体機能不全などのホルモン異常の可能性も考えられます。基礎体温だけで異常を判断することは難しいため、心配なときはかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
また、基礎体温はライフスタイルや体調によって変動するため、正しく測ることを習慣化することや、体調の変化とともに振り返るとよいでしょう。習慣化には、記録アプリの活用やパートナーと協力するなどの工夫も取り入れることもおすすめです。
この記事は2021年10月6日時点の情報です。
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Last Updated : 2021/Sep/30 | LMR-CH-20210817-01