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【医師監修】帝王切開について。知っておきたい事前準備から産後まで
出産する方法には、大きく分けて自然分娩(経膣分娩 – けいちつぶんべん)と帝王切開があります。これまでに手術を受けたことがなく帝王切開が初めての手術で、「帝王切開は怖い」という印象をお持ちの方も多いと思います。帝王切開は経腟分娩が難しい場合にお母さんと赤ちゃんの安全を守るために行われる手術です。
医学的な理由でもともと帝王切開と予定されている場合もあれば、出産の途中で急遽帝王切開となる場合もあります。いざ帝王切開が必要と言われると、どのような手術なのか?自然分娩とどう違うのか?などわからないことが多くあるでしょう。そこで今回は帝王切開とはどのようなものか詳しくご紹介していきます。
帝王切開とは
帝王切開は、何らかの理由により経腟分娩が難しいと判断された場合に、お母さんと赤ちゃんの安全を守るために行われ、手術によっておなかと子宮を切開し、子宮の中にいる赤ちゃんを取り出す方法です。
おなかの切開を行いますので麻酔が必要です。麻酔の方法は「区域麻酔(腰椎麻酔[ようついますい]、硬膜外麻酔[こうまくがいますい])」もしくは「全身麻酔」により行われますが、一般的には腰椎麻酔を用いた区域麻酔で手術を行われることが多いです。
腰椎麻酔は背中から針を刺して麻酔薬を注入することで麻酔をかけます。主に胸から下の感覚がなくなることで手術の痛みはありませんが、お母さんの意識はあるために赤ちゃんが産まれたときの産声を聞いたり、場合によっては触ったりすることもできます。
状況によっては全身麻酔が必要となる場合もあります。全身麻酔の場合は、点滴や肺から吸い込む麻酔の薬を用いますが、お母さんが眠った状態で赤ちゃんが生まれてきます。
帝王切開は自然分娩と比べてお母さんの合併症が増える、と報告されているために、自然分娩が可能な場合には、まず自然分娩を試みることがほとんどです。
ただ、骨盤位や子宮の手術を受けた場合、お産の進み具合やお母さん、赤ちゃんの状態により帝王切開による出産が必要となった場合に行われます。近年、出産年齢の高齢化やさまざまな状況で帝王切開による出産となる割合は年々増加しており、今では5人に1人が帝王切開で出産されています。
どういう場合に帝王切開で出産するの?
帝王切開には、妊娠前から、もしくは妊娠の過程で帝王切開となる予定帝王切開と、出産の途中で帝王切開となる緊急帝王切開があります。どのような人、どのような場合に、帝王切開となる可能性があるのか、詳しくみてみましょう。
あらかじめ帝王切開となる場合:予定帝王切開
子宮の手術を受けた人、自然分娩が難しい子宮筋腫のある人、前回の出産が帝王切開だった人、前置胎盤、多胎妊娠、逆子、巨大児、胎児奇形など。
分娩中に帝王切開となる場合:緊急帝王切開
お産が途中で進まなくなった場合(分娩停止)、お母さんの状態が悪化した場合(妊娠高血圧症候群など)、赤ちゃんの状態が悪化した場合(胎児機能不全)、胎盤の異常(常位胎盤早期剥離 – じょういたいばんそうきはくり)。
自然分娩によるリスクが高いと考えられる場合に、帝王切開による分娩がすすめられます。施設によっては逆子の自然分娩や以前に帝王切開を受けた方の自然分娩を取り扱っている施設もありますので、分娩取り扱い施設にご相談下さい。
入院前から出産後まで、帝王切開と自然分娩との違い
必要書類の違い
自然分娩の場合は、特に必要な書類がないこともありますが、帝王切開の場合は手術同意書、麻酔同意書、輸血同意書などが必要になることがあります。また、計画分娩の場合は、陣痛が来ないときに陣痛を起こして分娩へ導くための「誘発分娩」の同意書が必要となることがあります。
入院するタイミングの違い
自然分娩の場合は、破水したり陣痛が起きたりと、出産の兆候が起こると連絡をして病院に行き、診察を受けて生まれそうであればそのまま入院となります。予定帝王切開の場合は、出産予定日の前日に入院することがほとんどです。
入院中の行動の違い
自然分娩の場合は、基本的には出産当日でも動くことが可能です。
しかし、帝王切開の場合は手術当日の安静が必要ですが、通常翌日から歩く練習を始めて行きます。翌日は傷の痛みもありますが、2,3日経つ頃から普通に歩けるようになります。また、自然分娩の場合は翌日からシャワーを浴びることが可能ですが、帝王切開の場合は3日ほどたってからとなります。