妊娠中はバランスの良い食生活を心がけることで、母体の健康が維持され、赤ちゃんの発育に必要な栄養素を過不足なく供給することができます。

妊娠後の最初の3カ月間は、食事量を妊娠前よりも増やす必要はありません。しかし、妊娠中期と妊娠後期では、赤ちゃんの体重が増えるため、それぞれ1日あたり250 kcal分、450kcal分多く食べる必要があります。これは果物2個分、3個分に相当します。

なにを食べたらよいの?

妊娠中は食物に気をつけることが大切です。食事の質を重視しましょう。

妊産婦のための食事バランスガイド(厚生労働省)、日本人の食事摂取基準2015年版(厚生労働省)、日本食品標準成分表2015年版(文部科学省)で推奨されている、妊娠中に摂取すべき5つの主要食品群の摂取量は以下のとおりです。

食品群 1日あたりの推奨最低摂取量(RDI) 一人前の分量(サービング)
主食(パン、シリアル、米、パスタ、オーツ麦など) 妊娠初期および中期では5~7つ(サービング)、妊娠末期では6~8つ(サービング)

1つ(サービング)の基準は穀物由来の炭水化物約40 gで以下の量に相当

- 食パン1枚(4~6枚切り)、もしくは

- ご飯小盛1杯、パスタまたは麺類1/2人前(乾麺で40~80 g)、もしくは

- グラノーラ1/2カップ(60 g)

副菜 野菜、きのこ、いも、海藻を主材料とする副菜を、妊娠初期では5~6つ(サービング)、妊娠中期および末期では6~7つ(サービング)

1つ(サービング)の基準は約70 gで以下の量に相当

- お浸し一人前、もしくは

- 煮豆1人前

主菜(肉および魚、卵、大豆料理) 妊娠初期では3~5つ(サービング)、妊娠中期および末期では4~6つ(サービング)

1つ(サービング)の基準は肉や魚など由来のたんぱく質約6 gで以下の量に相当

- 調理した牛、ラム、仔牛、豚などの脂肪の少ない赤肉65 g、もしくは

- 鶏肉、七面鳥などの脂肪の少ない鳥肉40 g、もしくは

- 調理した魚の切り身50 gまたは小さな魚の缶詰1/2個、もしくは

- Lサイズの卵1個(70 g)、もしくは

- 豆腐100 g

牛乳・乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ、その他代用食品) 妊娠初期および中期では2つ(サービング)、妊娠末期では3つ(サービング)

1つ(サービング)の基準は牛乳・乳製品由来のカルシウム約100 mgで以下の量に相当

- 牛乳1/2カップ(100 mL)、または

- チェダーチーズなどのハードチーズ1かけ(20 g)、または

- ヨーグルト1パック(80 g)

果物 妊娠初期では2つ(サービング)、妊娠中期および末期では3つ(サービング)

1つ(SV)の基準は約100 gで以下の量に相当

- 中くらいの大きさのリンゴ1/2個またはバナナ1本、もしくは

- ぶどう1/2房、もしくは

- みかんの缶詰(果肉のみ)1/2カップ

食事をとる女性

上記の健康的な食品の摂取に加えて、以下の点も守るようにしてください。

  • バターやクリームなどの飽和脂肪酸が含まれる食品を摂取するのをやめ、代わりに油やスプレッドなどの不飽和脂肪酸が含まれる食品を摂取しましょう。
  • 加工食品やファストフードを控える。こうした食品には飽和脂肪酸が多く含まれている上に、塩分や糖分も添加されています。テイクアウト食品の利用回数を減らし、ビスケット、ケーキ、加工肉、ポテトチップス、スイーツ、ソフトドリンクは控えましょう。
  • 水を十分に飲むことで、消化が促され、有害物質が体外に排出されます。1日に少なくとも2リットルの水を飲み、便秘や脱水症状を防ぎましょう。

妊娠中の女性の健康を保つための重要なポイント

妊娠中は体重管理が重要です。
食事の質を重視するようにしましょう

妊娠中は食事には特に配慮が必要です。ここでは、いくつかの基本的、かつ重要なポイントをご紹介します。

  • 禁酒する。: 安全を期して、妊娠中や授乳中はお酒を断ちましょう。
  • リステリア菌を含むおそれのある食品を避ける。: 該当する食品には、ソフトチーズ、テリーヌ、加工肉、調理済みのサラダ、生卵、生またはスモークした魚介類などがあります。卵、肉、魚は十分に火を通してから食べてください。
  • 魚を選ぶときは慎重に。: 一部の魚は他の魚よりも水銀の含有量が多いため、厚生労働省は摂取量についてガイドラインを設けています。妊娠中および妊娠活動中の女性が摂取してもよい量として、摂取量に注意が必要な魚は1週間に1~2点(1点は約80 g)に抑えると提案しています。
  • カフェインの摂取量を控える。: カフェインの摂取量について、厚生労働省は1日の摂取許容量を設けていませんが、世界保健機関(WHO)はコーヒーならば多くても1日300mgカップ3杯までに抑えるよう推奨しています。お茶、チョコレート、栄養ドリンクなど、カフェインを含有する他の食品にも注意してください。

妊娠中に生じやすい症状への対処法

つわり

妊娠初期に、妊婦さんの50~80%4が、吐き気や嘔吐などのつわりの症状を経験します。症状は一人ひとり異なりますが、以下の方法がつわり症状の軽減に役立つことがあります。

  • 吐き気をもよおすにおいや食品を遠ざける。
  • さまざまな食品や飲料を試し、症状が軽くなるものを確認しましょう。妊婦の中には、「朝一番に口に入れるのは炭酸水、グレープフルーツ以外はありえない」という人もいます。
  • 少量の食事を1日に何回かに分けて摂る。こうすると吐き気が軽くなったり、感じなくなったりします。
  • パン、米、パスタなどの低脂肪で消化の良い食品を摂る。ハードチーズのような高タンパク質の軽食を試すのも一案です。
  • 脂っこく香辛料の強い食品や、お腹にガスがたまりやすくなる野菜は避ける。
  • 妊娠女性向けマルチビタミンの摂取を開始する。つわりの症状にお悩みなら、この方法がお勧めです。

胸焼け

妊娠中期および妊娠後期には胃酸過多や胸焼けが起こることがあります。これは成長中の赤ちゃんが母体の消化器系を圧迫し、その働きがさらに低下することが原因です。次に紹介することを行うと症状がある程度は軽減する可能性があります。

  • 消化器系に負担をかけすぎないように食事の回数を増やして少量ずつ食べるようにする。
  • 胃への刺激性が強い揚げ物や香辛料のきいた食品、カロリーの高い食品は避ける。
  • お腹にガスがたまるのを避けるため、食事中は水分をあまり摂らないようにする。その代わりに食間(食事と食事の間)は十分に水を飲んでください。
  • 食後は座ったままの姿勢を保ち、数時間は横にならない。
  • ゆったりとした衣服を着用する。
  • お腹が頭よりも低い位置になるように枕を重ねて寝る。

便秘

妊娠中は複数のホルモンの作用、運動不足、赤ちゃんの成長などが原因で便秘になることがあります。下剤は主治医の許可がない限り服用してはいけません。食事とライフスタイルの改善で便秘予防に努めましょう。

  • 全粒穀物、果物、野菜などの食物繊維を豊富に含んだ食品を多く摂る。厚生労働省は食物繊維を1日約18 g以上摂取することを推奨しています。
  • 水を十分に飲み、からだから毒素を排出する。
  • 定期的に身体を動かす。1日の始まりに軽いウォーキングをするのも効果的です。

食べ物の嗜好

妊娠中に味覚が変わることがあります。例えば、特定の食品をいくら食べても満足できず、他の食品では満足できないこともあります。からだに悪影響を及ぼすような嗜好の変化でなければ問題はありませんが、気になるようでしたら、主治医に相談してください。

妊娠をサポートする重要サプリメント

赤ちゃんの発育をサポートするために、
妊婦さんはビタミン、ミネラル、
その他の栄養素を補う必要があります。
しかし、食事だけで必要な栄養素を補うのが
難しいことがあります

妊娠は母体に大きな負担がかかります。赤ちゃんの発育をサポートするために、妊婦さんはビタミン、ミネラル、その他の栄養素を補う必要があります。しかし、食事だけで必要な栄養素を補うのが難しいことがあります。

妊娠中、特に重要な栄養素

葉酸

妊娠初期の数週間、ほとんどの女性は妊娠を自覚していませんが、その期間に胎児の神経管は発達して閉じてしまいます。神経管は胎児の脳と脊髄、中枢神経系にとってとても重要な器官です。この神経管の形成には、母体が摂取する葉酸の量が重要なカギを握っていると考えられています。

妊娠中、特に妊娠後期では葉酸の必要量も増加します。そのため妊娠活動中から妊娠中に至るまで、マルチビタミン・ミネラル配合サプリメントを摂取することが重要です。

妊娠中は母体の血液量の増加や、胎児および胎盤の成長に伴って必要とされる鉄の量が増加します。

食事以外のライフスタイルも見直しを

妊娠中に何を摂取すればよいかを知ることはとても大切ですが、注意することはそれだけではありません。妊婦さんのためのライフスタイルのアドバイスにも目を通してください。いまの生活習慣の中に、妊娠にとって不適切なものがあることを知り、驚くことになるかもしれません。

*2014年3月現在